青葉台で芽生えた夢が、時を経て詩になった|『ことばの宇宙飛行士』著者 南條 雄一インタビュー

今回は、詩集『ことばの宇宙飛行士』著者の南條 雄一さん(以下:南條さん)にインタビューを実施させていただきました。

『ことばの宇宙飛行士』著者の南條さんの原点は青葉台。青葉台で過ごした幼少期があったからこそ、本著書が生まれたと言っても過言ではありません。
さらに南條さんのお話を聞いていくと、とても愛情深いお人柄だとわかりました。
ぜひ、青葉区の方もそうでない方も、『ことばの宇宙飛行士』を通じて南條さんという人柄に触れていただきたいです。
目次
青葉台の古本屋から始まった。芸術への情熱。
-青葉区には何歳位の頃に住まれていたのですか?
南條さん:暮らしていた時期はそう長くはありません。3歳から6歳まで住んでいました。記憶はかなりしっかりしていて、最初はしらとり台、その後引っ越し、青葉台駅から徒歩2分の場所にあるマンションで暮らしていました。当時、ロケット公園(桜台第二公園 )で自転車の練習をしていたこともハッキリ覚えています。スイミングスクールに通っていたり、本だったりスポーツだったり……最初にさまざまな文化に触れた場所が、青葉台でしたね。
-青葉台で暮らす中で、どのような経験が詩集へと繋がったんですか?
南條さん:当時、暮らしていたマンションの1階に古本屋がありました。本に対して興味をもったことも、この古本屋の存在が大きいです。初めて買ってもらった本は、今でもハッキリ覚えています。漫画『キン肉マン』の10巻です。キン肉マンを夢中で読み、そこから、漫画の世界や創作活動の世界にハマっていきました。ですから、青葉区に暮らしていて、たまたまそのマンションの下に古本屋があって、そこでキン肉マンを読んでいなければ、今回の詩集を出すことはなかったと思います。つまり、私にとって青葉台は活動の原点なんです。

表現の方法を変えながら、創造は止めなかった。
-詩集という形に至るまで、どのような活動をされてきたんですか?
南條:記憶にある中で最初の創作といえるのは、小学4年生から6年生までの期間で描いた長編漫画があります。小学4年生の夏休みの自由課題で始めたのですが、夏休みだけでは描ききれず、小学6年生まで描き続けました。 中学2年生でギターに触れてからは音楽にハマり、高校時代にはバンドを組んで作詞作曲を始め、人前で歌うようになりました。この頃から詩を大切にしていたので、詩を届けるために歌っていたという感覚です。その後、長く続けるも上手くいかず、30代からは仕事に夢中で音楽活動ができなかったのですが、それでもずっと詩だけは書き溜めていました。
-やはり「詩」が南條さんの中で大きいんですね。そこから、今回の詩集の出版に至った経緯を教えてください。
南條さん:詩集の出版に至ったきっかけは、「小説」でした。妻から「小説を書こう」と誘われて書いてみたんです。すると、気づけばあっという間に7万文字も書き上げていました。ただ、これまで小説執筆の経験がなく、自分の技術に不安を感じて頓挫してしまったんです。そんなときに、ふと自分の本棚を見て、沢山の「詩(うた)」があることを思い出し、「あの頃情熱を注いできた歌作りは、自分にとっての資産だ」と思ったのです。
そして、あの頃の夢を追いかけていた自分を、大人の自分が応援してあげようと思い、詩集を出版社に持ち込んだところ、見事にご縁があり、出版に至りました。
また、子どもに対して、「夢を追う親の姿を見せたい」という気持ちもあります。思い返せば小学4年生の頃から創作活動をしてきましたが、形になり切らないままで終わってしまうものが多くありました。だから、商品として世に出して、創作活動というものとの決着をつけると同時に、それが、子どもに見せられる親の胸を張った姿になると思ったんです。
言葉で宇宙を旅して、人生を振り返る。
-詩集について教えてください。『ことばの宇宙飛行士』というタイトルに込めた想いなどはありますか?
南條さん:保育園の卒園アルバムに書いた将来の夢が「宇宙飛行士」だったことが関係しています。これまでの人生で漫画家や音楽家、さまざまな夢を目指してきました。ただ、これらの夢はいずれも「何かを創る人」だと気づいたんです。そして、長い間忘れていた、宇宙飛行士の夢を思い出したときに、「なんだ、言葉で宇宙を旅しているじゃないか」と、「形は変わりながらも自分の夢が叶っているじゃないか」と思えたんです。その感動から、『ことばの宇宙飛行士』と名付けました。
-『ことばの宇宙飛行士』の魅力やこだわりについて教えてください。
南條さん:私には「身近な愛を、たいせつに」という理念があります。この言葉のように、詩集『ことばの宇宙飛行士』では、自分が生まれた地点から出会って来た身近な愛を表現しています。まずは自分、親、そして兄弟、次にいとこ、友達、恋人、パートナー、知人、他人/妖怪、神様/仏様…のような形です。ですから、一つずつは短い詩なのですが、一冊を通して読んで頂くことで、一つの大きな世界、大きなストーリーが立ち現れてくるような構成を意識しました。
今を100%で生きれない人の、一つのきっかけとして読んでほしい。

-『ことばの宇宙飛行士』を、どんな人に読んでほしいですか?
南條さん:今を自力で全速力で生きている方にとって、今は『ことばの宇宙飛行士』は必要ないものかもしれません。反対に、今の自分に不満や違和感を感じている方に読んでほしいです。たとえば、「理想の自分になれていない」「恋愛がうまくいかない」「もっと本当はやれるはずなのに…」など、理想と現実の間に葛藤を抱えている人には、この詩集からエネルギーや生きる力が伝わったら良いなと思います。
青葉台で育った一人の少年が、40歳を過ぎて自分のイマジネーションを形にする経験ができましたから。今、「何かやりたい」「できるはずだ…」と葛藤している方にとって、一つの刺激になれたら嬉しいです。
-『ことばの宇宙飛行士』を通じて、最も伝えたいことはなんですか?
南條さん:ぜひ、あなたの身近な愛を思い出してください。『ことばの宇宙飛行士』を読んで感動したと、何冊も購入し、家族や大切な人に配り回ってくださった方もいました。詩集を読んでいただくことで、自分を支えてきてくれた人への感謝、そのなかでの葛藤なども思い出し、それがあなたの「次の一歩」への後押しになることを願っています。
■南條 雄一さん情報
X:https://x.com/nanjojonan
Webサイト:https://yuichinanjo.com/
